修行時代④
前回の続きですが、某テーマパークのお仕事をしていて、ある出来事がありました。
親方の死です。
肺ガンにかかってから割と早くに亡くなってしまいました。
年齢的には僕の父よりは祖父に近かったので、おじいちゃんという感じでしたが、どっしり構えた、人間的にも太い人でした。
親方と若い衆という関係ですから、プライベートな話はあまりしませんでしたが、時折話す、お仕事での言葉が深い、なんとも脳裏に焼き付いていくようなものばかりでした。
東京オリンピックの時には、甲州街道の、世田谷杉並界隈から味の素スタジアムあたりまでの道の両側にケヤキが植えられています。
今となってはものすごく大きなケヤキ並木になっていて、道幅を広げる事は不可能と思われる程そびえ立っています。
その片側をずーっと植えて来たようです。
その当時は住み込みの従業員もたくさんいたと聞いています。
そんな親方の死後、残された僕らは親方の築いてきた信頼を失うことが無いように、親方が居なくてもお仕事を継続していただけるように、とにかく毎日必死でした。
親方には跡取りがいなかったので僕らでなんとか体制をキープするしかなかったのです。
こんな若い衆たちをただ見守ってくれていた親方への恩返しのつもりで。
今でもふと思い出します。
「会社なんて大きくするもんじゃねえぞ」
僕も今となっては、この業界に関してはそう思っています。人がたくさん増えるほどに利益が薄くなっていくと。
その理由はまたどこかで。
そんなに長い期間一緒に居た訳ではありませんが、修行時代は親方や先輩方の影響をものすごく受けている自分に気づきます。
職人の世界、
見て習わないとなあ!
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